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2009年04月28日

「ランチバイキング考」の巻

「こんな時勢だからこそ

 攻めて 攻めて 攻めまくれ!

 “外食を慎んで家庭で団欒を”
 
 そんな情報は鵜呑みにするな。

 ランチタイムのレストランを見ろ。
 手抜きしたい主婦がウジャウジャ 飯 食ってる

 一度手抜きを覚えた主婦は、二度と家事に手をかけない、
 という法則がある。

 外食産業が生き残る道はここにある。

 主婦が家で絶対に作れない手の込んだメニューを低価格で
 そういった新店舗を郊外に展開する。

 交際費を削られた男の懐はあてにするな。

 亭主の小遣いは削っても、自分はラクして楽しむ。

 女房ってのはそういうもんだ。」


漫画『あすなろ白書 第Ⅱ部』第1巻に出てくる一節だ。

主人公の一人である園田なるみ(ドラマでは石田ひかりが演じていた)が秘書を務める外食産業の剛腕社長、秋葉宗輔(同:岩城滉一 )のセリフである。

不況になり、店舗の閉鎖、従業員の解雇と逆境に追い込まれても、自らを信じ、「攻めて 攻めて 攻めまくれ!」と檄を飛ばす。
「手抜き主婦の法則」は、「秋葉の法則 その3」だそうだ。

この漫画が出版されて既に15年以上経過しているのに、このセリフがまったく色褪せていないように感じるのはやはり、当時の社会情勢と現在の社会情勢が似通っているからだろう。

この漫画がドラマ化された当時、白うさぎは社会人1年生だった。

白うさぎの学生時代と言えば、まさにバブルの真っ只中だった。
白うさぎの一学年上の先輩なんて「空前の売り手市場」なんて言われて就職活動では、かなり「オイシイ思い」をした方もおられるようだ。
今朝もラジオで「武田鉄矢・今朝の三枚おろし」を聴いてたら、「バブルの頃はね、女子大生が六本木あたりの飲み屋さんで3時間ぐらいお客さんの相手をしただけで、月100万くらい稼いでたんですよ~。」「私にも、“ゴルフ場あげるから経営してみない?”なんて話がよくあった。それがバブルという時代なんです!」としゃべってた。
試合で他の大学のキャンパスへ行くと、「夜のステキなお仕事」を生業とするおネーチャンの様な格好をした女子大生がウロウロ…まー凄い時代だったね。

それが、バブル経済が崩壊して、あっという間に「失われた10年」なんて呼ばれる時代へ突入!
白うさぎが最終学年になったら、突然「就職氷河期」だとkao12
「関関同立」「龍近甲産」など知名度では有名私大には及ばなかった白うさぎの母校。
同級生も就職活動ではかなり苦労したものだ。

その「失われた10年」から日本も徐々に立ち直り、少しずつ景気も上向いていき、少し前まで「売り手市場」と言われていた「就活戦線」それがどうした事か、アメリカ発の経済危機が日本を直撃して「内定取り消し」が続出、あっという間に日本も不況に逆戻りだ。

しかし長い間「不況だ、不況だ!」と言われながらも、いま一つ実感が湧かなかった。
休日にショッピングセンターへ行けば「人」「人」「人」の波。
昼食を食べにお店へ入ればここも人であふれかえっている。
一体どこが不況なのだろう?
確かに「レジャーの代替手段」としての「買い物」「外食」という見方もできるが…。


さてさて、前置きが長くなってしまったが…kao08

過日、貴重な平日の休みを利用して、ママうさぎと一緒に、県内某所にあるホテルのランチバイキングへ出かけた時の事を話題にしたい。
最初に断っておくが、リアルタイムに話題にするのはどうか…とも思ったのでわざと時期をずらして書いている。

それは
「家族や親しい人たちとの楽しいひとときを、料理長自慢のお料理でお楽しみください。」と銘打たれていた。
その「特選バイキング」は何とiconN04一人980円iconN04
この不況下で、何とも嬉しい話ではないか!


ところがこの期待があえなく裏切られる事となるのは、家を出る時には知る由もない。


何にも知らない白うさぎ達が会場に到着したらすごい行列だった!
何だこれ~!!
平日なのにスゴイじゃないか!?

やはり女性が多いのも特徴で、女性同士や子供連れのお母さん方、女性のグループなどなど…。
ここで冒頭のセリフが頭をよぎったワケ…不況でも女性はたくましいなぁ~なんて。
この時はのんきに構えている。

行列が少しずつ前へ進んでいく。
入口が近付くにつれて、本当は気分も高揚していくハズが、「何だかおかしい…」

入口付近は混雑しているが、ちらっと見やるバイキング会場は、そんなに席が埋まっている気配はない。
あれれ?

入場寸前になって、その原因がわかった。

入場口で先に料金を支払うシステムなのだが、入口入ってすぐのところにバイキングのお盆や皿が並んでいる為、みんな入ると同時に料理を取りだす。だから入口付近で行列が滞留してしまうのだ。

でも待てよ…先に席に着いてから料理を取りに行こうとしても、導線が入口から伸びている為に、入場してそのまま料理を取って行く人に割り込むような形になってしまう。
さすがにそれは心理的障壁が高い。

しかし席は確保しないと料理を持ったままウロウロする事になりかねないと、料金を支払うと同時に白うさぎは中へ入り、座席を確保した。宴会用の大テーブルがメインだったが、3人掛けのテーブルが空いていたのでとりあえず確保、ヨシッ!。

入口へ戻ると、今頃になってホテルの係員が、「相席になりますので、先に席をおとりくださ~い」なんてのんきに言ってる。
おいおい、先に言ってくれよ~。
みんな不審に思いながらも知らずに行列してるんだよ~。

でもよく考えると、会場は6~8人がけのテーブルとかを中心に並べていて「相席」になるのは大前提じゃないのか?

入口に人が滞留するのを何とか散らしたいとの苦肉の策なのかも知れないが、それ以前に入口からすぐの所にバイキングのテーブルを並べたのが失敗でないのか?

白うさぎ達もお盆を持って並んでたら、後から入場してきて場所取りを終えた年輩の女性グループに「堂々と」割り込まれたが、これでは行列作って入場してきたのに感じのいいものではない。

でもまあ、何やかんや言っても今日は食べるのが目的!料理さえ旨ければ文句はない!
とりあえず料理を取って席へ着いた。

食べながら冷静に考えてみた。
「一人980円って言っても、100人ぐらい入るから1日10万の売り上げかぁ~。」
「セルフサービスだから人件費も安く上がるよね。」
「やはり年度末だからかなあ~。」
食事を楽しむ会話ではない。(苦笑)

しかしこのバイキング、もう一月も開催しているのに、客のさばき方がまずくないか?
いっぱいで入れないのなら仕方ないし、料金を払うので一旦流れが止まるのも仕方ない。
しかし、それ以降の渋滞はどう考えても導線が悪い様な気がした。

料理もよく見たら20種類ほどのメニューの中に、メインになる様な料理がない。
つまり肉(牛肉)とか魚料理がないのだ。
ドリンクはお冷、お茶、コーヒー、紅茶のみ。子供連れの為にジュースがあってもよさそうなのに…。
女性の大好きなデザートも品薄だった。
そして一番のポイントである「料理長自慢の料理」とやらは、一体どれなのか?
ざっと見渡してもそんなに手をかけている様には思えない様な総菜も多いと見た。もしかして置いてあった「カレー」はタダのカレーじゃないのかも…?「じっくり煮込みました!」みたいな…。
親子連れも多く来ているが、子供向けの料理が少なすぎると思った。子供向けには焼きそばとかスパゲッティとかピラフとかしかない。これで子供も大人と同じ料金とは解せない。せめて半額にしないと。

半時間ほどすると、さすがに昼どき、混みだした。
会場からも中へ入れずに並んでいる人たちの姿が見える。

ホテルの係員の1人が機転を利かしてテーブルを出し、テーブルクロスをかけて、お客さんを案内した。
入って来たのは子連れのお母さんグループだった。
ところが案内された人達の顔が一瞬曇ったように見えたkao02
そこに出されたテーブルは、会議で使う長テーブルが一脚で、お盆を並べたら顔を突き合わして食べなければいけないほどキツキツだったからだ。
間近で見ていて本当に気の毒に思えた。

確かに980円、されど980円。
「980円じゃこれが限度だ!」と言われればそれまでだし、文句を言うのは筋違いかもしれない。
しかし街中の洋食屋というのならともかく(決して街中の洋食屋を貶めている訳ではない)、ホテルでの「ランチバイキング」だ。
お客さんは「ホテル」という「ブランド」に惹かれてくるのだし、街中では味わえない雰囲気、「ホテルのおもてなし」を味わいに来ているのではないか?
別にこんな事なら1,980円でもいいから、もっとゆったりとしたスペースで、もっとグレードの高い料理を出せば、絶対リピーターは増えると思う。
それを考えれば、今回の「ランチバイキング」は多くのお客さんを失望させたであろう。そそくさと食事を済ませ、出て行ったグループは、もしかしてどこかで口直しだろうか?そのくらい物足らなかった。白うさぎも思わず「吉牛でも行こうかな~」と思ったくらいだ。

冒頭に引用した秋葉宗輔の戦略は見事である。
作者である柴門ふみの観察力、洞察力にも脱帽だ。
不況だろうがなんだろうがサービス業の相手は常に人間だ。いかに人間の行動特性を観察し、そのニーズに応えるか。
秋葉の戦略には、創意工夫次第で社員に勇気を与え、不況を乗り越えようと前へ進める方策が示されている。
戦略が当たれば、不況下でも「勝ち組」になれる。
反面このホテルの「ランチバイキング」、一時的には利益をあげる事ができたかもしれないが、残念ながら二度と行こうという気になれない。

「サービス業」というものを改めて考えさせられた出来事であった。



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この記事へのコメント
最近経営者が変わって名前が変わったあそこですよね?
あそこは働いてる人も「恥ずかしくてこんな料理お客さんに
出したくない」って言ってたから…。前からいた従業員は
ほとんどやめちゃったそうですよ。
Posted by つつみつつみ at 2009年05月09日 21:32
つつみ 様

ブログ更新されてなかったので、どうしてるのかなあ~と思っていましたが、お元気そうでなによりです。

>最近経営者が変わって名前が変わったあそこですよね?

鋭いですね~。

>あそこは働いてる人も「恥ずかしくてこんな料理お客さんに
出したくない」って言ってたから…。

そうだったんですか!
行って見てよくわかりましたよ。あそこでは結婚披露宴をあげただけにとても残念です。
Posted by 白うさぎ at 2009年05月10日 10:11
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