介護報酬上げると介護職給与上がる?…厚労省調査へ

白うさぎ

2008年08月21日 20:45

皆さん、知ってましたか?
最近『寿退職』って、介護業界で働く男性が結婚を機に退職する事を言うんですよ!


つまり結婚しても家計を維持していくだけの収入がないって事らしい。

国民のセーフティーネットたる社会保障制度。
「介護保険」もそのうちの一つである訳だが、厚生労働省(設立当時は厚生省)の見通しが甘かったんだろうね。
制度がスタートして軌道に乗り始めるとたちまち破たんしそうになってしまった。
破たんさせない為には、40歳以上の人達から徴収する保険料を上げなければならないが、ただでさえその他の社会保障にかかる負担(医療保険や年金)が大きくなって来ているところに、またぞろ「負担増」など持ち出した日にゃあ~大変だ!国民の不満が高まりゃ選挙にも影響するし。

結局大幅な「負担増」は見送られ、でも限られた原資で制度を運営していかなければならない。
「入」が期待できなけりゃ当然「出」を減らさざるを得ない訳で…かくして「制度の持続」そのものを目的とした改正が行われ、我々介護サービス事業所へ入る「介護報酬」が削減された。
その結果が「寿退職」に象徴されるような「介護職の職場離れ」である。
ある大学教員によれば「この業界、3年で5割、5年で8割が入れ替わる」そうだ。

学生の「福祉(介護)」離れも深刻だ。
卒業と同時に国家資格である「介護福祉士」の国家試験受験資格が与えられる県立長浜高校福祉科の卒業生の大半は進学するというし、県内のある介護福祉士養成校では定員の半分も学生が集まらず困っている。
ひと昔前は「“デモシカ学生ばかりでレベルが低い」などと揶揄されていたにもかかわらず、「福祉“でも”勉強するか」「福祉“しか”行くところがない」という「デモシカ学生」すら集まらないという惨状だ。

NHKをはじめとしたネガティブキャンペーン(介護現場と格差社会をリンクさせたような報道)の影響で、進路指導でも学校の先生は親に「やめといた方がいいですよ」と言ってるとか
だって夜勤して目いっぱい働いているグループホームの介護職員〈20代男性〉が「手取り12万」とかって出るんだもの。「この仕事は好きです。でも生活していけないんです。」って言われちゃあね。

深刻化している介護職の職場離れを食い止めるためには、まず安定した所得保証からという事で、来年度から行われる介護報酬の改定では、報酬単価を上げようという動きが出てきている。
民主党からも「介護労働者の人材確保に関する特別措置法案」(介護人材確保法案)が衆議院に提出されたりしている。
これでどうやら来年度の改定は少しは期待が持てそう…。

と、思っていたら今日発見したこの記事

「介護報酬上げると介護職給与上がる?…厚労省調査へ」(YOMIURI ONLINE)

 介護職の人材難解消のため、介護保険から事業者に支払われる介護報酬を来年度の改定で引き上げることを検討している厚生労働省は13日、引き上げが介護職の給与アップに反映されるかどうかを検証する方針を決めた。

 改定前後の給与額を調べ、事業者が引き上げ分をどの程度、人件費に振り分けているかをチェックする。来年度予算の概算要求に、調査費約1億円を盛り込む方針。

 他産業に比べて賃金が低いことなどから、介護職の人材難は深刻で、舛添厚労相は先月、介護職の給与の原資になる介護報酬を来年度に引き上げる方針を示している。だが、職員の給与を上げるかどうかは経営者の判断にかかっており、報酬引き上げによる人材難解消の実効性を疑問視する声もある。

 このため、同省は、報酬改定後の来年夏をめどに、特別養護老人ホームや訪問介護事業所、デイサービス事業所など全国約8000事業所を対象に調査を実施。事業所ごとに介護福祉士や看護師らを1人ずつ選び、報酬改定前後の給与額を調べる。各事業所の経営状況も調べ、報酬が適切に人件費に回されているかどうかもチェックする。

(2008年8月14日03時03分 読売新聞)


ハア~(+o+)
いかにも官僚的というか何というか…絶句どす。


大体事業が立ち行かなくなるほど報酬単価を安く設定されているからこそ、職員に過酷な労働を課したり人件費までも削らなければならなくなる訳で、報酬が高くなったからと言って、必ずしもそれがそのまま人件費にスライドする訳ないやんか!

そりゃあ世の中善人もいれば悪人もいる。
職員をこき使って不当に利益を上げている事業所もあるだろう。
しかし大半の事業所はかなり苦労しているのが実情だ。事業自体が潰れたら職員は路頭に迷うしかない訳で、どっちをとるか言われたら、そりゃあ事業の存続だろう。

報酬が上がった分をそのまま職員の待遇に回せる事業所は確かに幸せだが、ギリギリの人数で利用者さんの介護をしている所なんかは職員の増員の原資にするかもしれない。だって職員の数が足らなくて、大事な研修さえ受けさせることができないところもあるんだよ。
介護負担軽減の為のソフトの導入等、新たな設備投資の原資とするところもあるかもしれない。「介護保険」が始まってから、何でも「記録」「記録」でかなりの数の記録を残さないといけない。勤務時間中は利用者さんの介護にあたっているから、勤務終了後に時間外労働を強いられるケースも数多い。日勤で「20時に退勤するのが普通」なんて職場もあるくらいだ。
この場合、そういう事業所は不適切な使い方をしていると指弾されるのだろうか?絶対おかしいと思う。


それを1億円もかけて調査しようという…「アホ言うてんな!」


大体この問題に限らず、「介護保険制度」がスタートしてからあまりにも制約が多すぎるのが問題だ。

そもそも「介護報酬」というからには、利用者の介護そのものに対する報酬であると考えるのが適切なわけで、例えば「利用者の余暇活動にかかる出費まで報酬の中に含有されているから“教材費”や“日用品費”“教養娯楽費”等を徴収するのは不可」などと言われると、何かサービスに付加価値を持たせようと思っても全て事業所の持ち出しになってしまう。

これを逆さまに読めば、同じ報酬が払われる訳であるから、どこの事業所でも、付加価値のあるサービスがある事業所と同じだけの事をできなければならない事となる。でも実際そんなことは無理だ!(アタリマエ)

「介護もサービス業」といい、自由競争の原理を導入するのならば、付加価値のあるサービスや「介護外」のサービスにかかる費用の徴収ももっと自由があっていい。
だって同じサービス業でも他のサービス業は価格は自由に設定されているではないか。ホテル等で「サービス料」ってとられるけど、その詳しい内訳を示せとか官庁から指導が入ったりする事はないと思う。それが何でこの介護業界に限り、「徴収する根拠を1円単位まで示せ!」なんだ?

「カラオケするなら1曲100円」とか、「うちは若くてカワイイ女の子やイケメンの男子をスタッフに揃えて、至れり尽くせりのサービスが自慢です(だから利用料高いよ)」とか、「来てもらいたいホームヘルパーを指名するなら指名料1,000円申し受けます」とか、そのくらい自由度があってもいい。その結果、利用者さんは多種多様なサービスを選択し、利用することができて、職員の待遇が向上するなら言うことなしだが…。


あまりのバカバカしさに、ちょっと彼女から一言言ってもらおう!


『あんたバカァ!?』(by惣流・アスカ・ラングレー )


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