バレーボールワールドカップが開幕!!

白うさぎ

2007年11月04日 15:29

11月2日からバレーボールのワールドカップが開幕した。
皆さんもお茶の間で手に汗を握りながら(古い表現だなぁ)観戦していることと思う。

「バレーバカ」(by嫁さん)の白うさぎも、1、2戦と合間を見ながらTV観戦した。
まずは開幕2連勝と幸先のいいスタートをきった全日本女子だが、元バレー部として思ったことを書き連ねたい。

まず、この大会の位置付けについてだが、バレーボールは元々「三大大会」と呼ばれる「オリンピック」、「世界選手権」、「ワールドカップ」があって、これらが権威のある大会だった。
中でも4年に一度のオリンピックは、出場チーム数も限られており、一番格上の大会だ。
次がオリンピックの中間年に行われる世界選手権。これは出場チーム数も多く、勝ち進むのがハードで本当の意味での世界一決定戦に近い。
そしてワールドカップ。この大会は、以前はオリンピックの翌年に開催されていたのだが、現在は前年に開催され、オリンピック予選を兼ねる大会となっている。

ここ数年、毎年のように日本でバレーボールの大会が開催されているので、何がなんやら分からない状態となっているのが…だが。

民放がバックについて視聴率を稼ごうと、芸能人をサポーターに起用したり、どこも「4年に一度の世界一決定戦」という使い古されたキャッチフレーズで、自局の大会を少しでも権威付けしようと煽りまくるもんだから、視聴者が混乱するわけだ。毎年「4年に一度の世界一決定戦」が行われてたまるかとツッコミを入れたくなる。

「国際大会」といいながら、開催国である日本に徹底的に有利になるような組み合わせ。
他国の試合はほとんど観客が入らずガラガラの会場。なのに日本戦の前には、過剰な程ショーアップされた演出が行われ、不必要な芸能人のパフォーマンスが試合前の厳粛な雰囲気をブチ壊す。
まさにやりたい放題の「スポーツイベント」化してしまっているのだ。

白うさぎ宅は、産経新聞をとっているが、このような惨状になったのは、ひとえにフジテレビの責任だ。
元々ミュンヘンオリンピックの金メダル監督であった松平康隆氏(この人は東京で銅メダル、メキシコでも銀メダルを獲得しているスゴい指導者だった。)が、バレーボールを国民的スポーツとして定着させようと、プロ野球シーズンが一段落したこの時期に、フジテレビと組んで日本にワールドカップを誘致したのがきっかけだ。
今ではジャパンマネーの影響もあって、ワールドカップのみは半永久的に日本で開催されることとなっている。(つまり出場の為の予選を免除されるということ。)

これはこれで良かったのだが、’84のロス五輪で全日本女子が銅メダルを獲得して以降、バレー界は長い低迷期に入り、これに歩調をあわせるかのように、大会毎の演出が過剰化するようになってきた。
つまり視聴率第一のTV局にとって、「バレーボール」というスポーツは、それだけ魅力のないコンテンツに成り下がってしまったということだ。
男子などは、メダルどころかリーグ戦での勝ち越し自体が絶望的な状態だから、最近は全くTVでも取り上げられない。(皆さん女子ばかり取り上げられているの、おかしいと思いませんでしたか?)
男子に比べ少しは状況がマシな女子についても同様だ。現状のチーム力では、いくら頑張っても世界でベスト8クラスであり、メダル獲得などおぼつかないのは本当はわかっているハズなのに、威勢のいい掛け声しか聞こえてこない。
しかも視聴率獲得の為に、録画とはいえ試合前の大切な練習の時期に、TVに引っ張りまわされバカなことをやらされてる選手もかわいそうだ。(楽しんでいる選手もいる様だが…)
敗戦に次ぐ敗戦を繰り返しても、「まだ次がある」「奇跡を信じましょう」と、大本営発表さながらの放送にはいい加減辟易させられる。
亀田親子を増長させ、ボクシングという命がけのスポーツを貶めたTBSを、どこの局も本来批判などできないハズなのだ。


さて、今大会に出場している全日本女子のメンバーは以下の通り。

①栗原 恵(23) パイオニア 186cm WS
②大山 加奈(23) 東レ  187cm WS
③竹下 佳江(29) JT  159cm セッター ★
⑤高橋 みゆき(28) NEC 170cm WS
⑧多治見 麻子(35) パイオニア 180cm センター
⑨杉山 祥子(28) NEC 184cm センター
⑪荒木 絵里香(23) 東レ  186cm センター
⑫木村 沙織(21) 東レ  184cm WS
⑮河合 由貴(17) 東九州龍谷高 168cm セッター
⑯大村 加奈子(30) 久光製薬 184cm センター
⑰佐野 優子(28) 久光製薬 159cm リベロ
⑱庄司 夕起(25) パイオニア 182cm センター

※1 ★印はキャプテン
※2 「WS」は「ウイング・スパイカー」の略。「レフト」及び「ライト」のサイドの選手をいう。昨今のバレーボール界も「欧米か?」じゃないけど欧米のチームがリードしていることもあって、聞き慣れない英語が増えてきた。上記には「センター」と書いてあるが、「MD」(ミドル・ブロッカー)と呼ぶこともある。他にもサーブレシーブを「レセプション」といったり、それ以外のレシーブを「ディグ」といったりもする。

今大会のメンバーでの注目は、久しぶりの「メグ・カナ」のそろい踏みと、高校生セッターの河合選手の代表入りであろう。
「メグ・カナ」の「メグ」こと栗原選手と「カナ」こと大山選手だが、栗原選手がエースとしてたくましさを増し、大車輪の活躍をしているのに比べ、大山選手は故障明けで、まだトップレベルの真剣試合に出られる状態ではない。
それでも代表チームへ選出され、ウォームアップゾーンから試合を眺めなければならないのは悔しくて仕方ないハズだ。なのにTVのカメラは執拗に大山選手のアップを映し出す。そのデリカシーのなさに「いい加減やめれ」といわずにおれない。

大山選手が所属するのは滋賀県に本拠を置くバレーボールチーム「東レアローズ」だ。びわこ放送でも彼女を起用したCMがオンエアされたからご存知の方も多いだろう。いわば滋賀の宝ともいっていい選手なだけに、本番は来年なので今は休養に専念して欲しいと思う。

一方サプライズ選出となった河合選手だが、これもどうかと思う。
いくらセンスが良くても、高校生の力を借りなければならない程シニアレベルではいいセッターがいないのか?将来性があるといっても170㎝に満たない子をだ。
元日立で全日本を長らく牽引した故山田重雄監督は、「天才セッター」と呼ばれた中学校時代の中田久美氏(177㎝)に対し、「これからは3mに届かない人は全日本に入っちゃいけないよ」と言ったといわれている。
「FIVB(国際バレーボール連盟」のHPによれば、彼女の最高到達点は280㎝である。これは159㎝のスターティングセッター竹下選手と同じである。
竹下選手のトスの技術は確かに上手いかもしれないが、「高さ」という絶対的な武器にかける為、せっかく上げたトスをアタッカーがスパイクするまでに一瞬タイムラグが生じる。
クイック攻撃などは、上がったボールを直ぐにスパイクするからこそ「クイック」なのだ。それもセッターがジャンプトスして、ジャンプしたアタッカーにより近い位置でボールを離す方が、効果は高い。
というのも現代バレーのブロックシステムは、ボールがセッターの手を離れてから、どのアタッカーが打つかを読んでジャンプする為、ボールの行き先がわかりやすいというのは、それだけでも不利なのだ。相手チームとしては、必ずしもシャットアウトする必要はなく、指先に引っ掛けるだけで、威力を半減させたボールを拾って切り返したらいいだけである。
だから、才能があるといっても、この選手を入れた意図がさっぱりわからない。

ただ、代表チームのセッターに企業チームが選手を送り出すのは、非常にリスクが高い行為であることも事実である。
所属チームはレギュラー選手を持っていかれてしまい、全日本のシーズン中は大事なコンビ合わせが全くできないからだ。おまけにケガなどされたら、それこそ目も当てられない。
しかも、柳本監督は北京オリンピックまで竹下選手と心中するつもりでいるから、大事なセッターを代表チームで「飼い殺し」の状態にさせるチームは「ない」というのも事実だ。以前代表チームで「飼い殺し」にされた選手がそのまま調子を崩し、引退したこともあるぐらいだ。
長らく全日本の女子は、日立やユニチカといったチームの単独チーム状態だったからこういう問題は起こらなかったのだが、そういう意味で、河合選手は入れやすかったのかもしれない。ただし、竹下選手以外を起用する気がないのに、不測の事態が起こったらどうするつもりなのだろうか?


女子大会の試合順は次の通りである。

2日  ドミニカ共和国(世界ランク16位) ○3-0
3日  韓国(世界ランク11位) ○3-1
4日  セルビア(世界ランク9位) ○
6日  タイ(世界ランク30位) ○
7日  イタリア(世界ランク4位) ●
9日  ペルー(世界ランク18位) ○
10日 ポーランド(世界ランク10位) ●
11日 ケニア(世界ランク18位) ○
14日 キューバ(世界ランク5位) ●
15日 アメリカ(世界ランク8位) ●
16日 ブラジル(世界ランク3位) ●

3日目以降は、ちょっと独断と偏見で勝敗予測を入れてみた。ポーランド、キューバ、アメリカあたりにはひょっとしたら勝てるかもしれない。そしたら3位以内も目に入ってくるが…。
しかしポーランドには先のワールドグランプリでも負けているので要注意。キューバは勢いにのせたら勝ち目はない。アメリカもデータバレーで攻撃パターンが読まれるとかなりヤバい。
いずれにしても今夜のセルビア戦に勝たないとどうにもならないのだが…。タイが昨日意外と善戦したので、まだ序盤だしいけるのではないか?とも思うが…。


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